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テイトの声は同じ年頃のガキ共と比べると少し高めで、甘い。 最近は余計にそう思える。





My cherubic boy





「テイト・・・」


名前を呼ぶと、気だるげな雰囲気を纏ったテイトが振り返った。
己のベッドの中で恥ずかしそうに上掛けに潜りながら此方を見遣る上目遣いは、堪らなく愛らしい。


「フ・・・ラ、ウ・・・」
「のど、痛めちまったな」


目立たない喉仏の辺りに触れると、テイトは擽ったそうに身を竦めた。
白く細い首筋の際どい位置に映える己の付けた色濃い痕に気付いたテイトは、どんな顔をするだろう。





まだ子供だと思っていた少年に昨夜、衝動的に手を出してしまった。


焦っていたのかもしれない
早く手に入れなければ、誰かに奪われそうな焦燥が、己には常にあった。





「ん・・・」


まだ体に余韻が残っているのか頬に触れると、テイトは鼻にかかったような声をもらした。
情事中を思い出させる、悩ましさを含んだ甘い声に再び衝動が込み上げ、勢いのままテイトの唇を貪る。


「ぅ・・・ふ・・・っ」


ほんの数時間前に全てを曝け出したにも関わらず、テイトは腕を突っ張って小さな抵抗を見せた。
先程まで快楽に乱れていたのに抵抗されたことが不愉快で、再び溺れさせてやるとムキになる。


「・・・ぁ、・・・んっ・・・」


角度を変えて口づけを繰り返すと、上手く呼吸の出来ないテイトは薄く唇を開いた。
誘われるように熱い口内を舌で蹂躙しながら上掛けを剥ぎ取り、瑞々しく滑らかな肢体に掌を這わしていく。
抵抗も弱まり確実に上がるテイトの体温にほくそ笑んだ時――


「っ!」


思い切り舌を噛まれ、思わず身を引いた。


「何すんだ、このクソガキ!痛ぇじゃねぇか!」


血は出ていないもののジンジンと痺れる舌に顔をしかめながら見下ろすと、テイトは潤んだ瞳で此方を睨んでいた。


「・・・テイト?」
「お前・・・口の中、苦い」
「あ」


失敗した。
テイトが目覚める前にラブお手製の薬(煙草)を吸っていたのを忘れてた。
コイツは煙草も苦いものも苦手なお子様だった・・・。


「悪ぃ」


謝罪の意を込めテイトの乱れて汗ばんだ髪を手で梳いてやると、猫のように気持ちよさそうに目を細めてくれた。
暫くしてふい、と目を逸らしたテイトがポツリと呟いた。



「口、濯いできたら・・・してもいいぞ」


続きを誘う台詞に思わず凝視すると、テイトは顔を真っ赤に染め、眉根を寄せながらぁーとかぅーと何事か呻いた。
可愛らしい口説き文句に、にやける口元を隠そうともせず
後頭部を抱き寄せ、眉間の皺を解すようにちゅっと唇を軽く押し付け、鼻歌交りに早々にベッドから降りる。
自分のこの浮かれようが可笑しくて堪らなくて、喉の奥でクックッと笑いながら足取りも軽く洗面所へ向かうと
羞恥に耐えられなかったのかボフッとベッドに突っ伏す音が背後から聞えた。





(誘ったのはお前なんだから、覚悟しとけよ?)















2009/8/3