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とある夕暮れ時、テイトが突然言った。





「ミカゲ、外行こうぜ、外っ!」

「え…なんだよ急に。」

「別に良いだろ、な?さっさと行くぞ!」





お願いされては断れる訳もなく、出掛ける用意をして二人外へ出る。





「急にどうしたんだよ?外に出たいなんて」





俺が誘わない限り自分から出掛けるようなことをしない奴、それがテイト=クラインだ。
そんな奴が外に出る、それどころか自分から誘うなんてこれから一生こんな機会はないかもしれない。
それぐらい、テイトの行動は珍しいのだ。






「ん〜…別に何でもねぇよ。ただ散歩がしたかっただけだ」





よほど散歩がしたかったのか楽しそうにテイトは言う。
しかも、滅多に見せない笑顔とともに。
俺もたまにはいいかと一緒に目的もなく歩く。
























外はいつの間にか暖かくなっていて。

そよ風とともに何処からか花びらが飛んできて、俺に冬の終わりと春の始まりを教えてくれる。











「ミカゲ、着いたぞ?」

「へ?」















気が付けばそこは小高い丘の上。
目線の下には見慣れた建物、上には―――











真っ赤で大きな太陽と綺麗な空。

















「誕生日おめでとう」











――― ちゅっ















軽く触れるだけのキス。





「えっ?………あっ今日って3/3?!」

「自分の誕生日忘れてたのか?」







なんて苦笑いするテイト。

でも、なんだか真っ赤に照れているようにみえるのはこの夕陽のせいか?

















「あのな、何あげようか迷ったんだけどあんま良い物思い付かなくて…悩みながら歩いてたらたまたまココ見つけたんだ。」









街の外れの方だからか車も人も殆ど通らない。
聞こえてくるのは風の音と隣で何事かを紡ぐ君の声音だけ。



こんな所があるなんて知らなかった―――











――― なんか…














「なんかココ来たら幸せな気分になるんだ・・・・だから、ミカゲにも見せたいなって思って・・・・」









この

心に広がる何とも言えない感覚はなんだろう?











「いつもミカゲには沢山幸せもらってるから、今日は俺がミカゲに幸せをあげようって思ったんだ」









あぁ、この世に生まれてきて良かった。

そして、この人に出会えて良かった。

だって、こんなにも素敵なものを与えてくれるのだから…















「ありがとな、テイト。すごい嬉しい…愛してる」







「俺も…ミカゲのこと誰にも負けない位大好きだ。来年も再来年もずっと、ずっと一緒に祝おうな?」







「あぁ…」





目線の下には見慣れた建物、上には真っ赤で大きな太陽と綺麗な空。足下には―――













君と俺の重なる長い影1つ。















――― 来年も再来年もずっとずっと一緒に





大好きな貴方と一緒にいられますように―――










2007/3/3